更年期は、閉経を中心とした生殖機能が終了するための移行期になります。そのため多くの女性は、必ず通過することになります。その際、日常生活に支障が出るような状態を更年期障害と呼びます。
ここでは、更年期障害に対する生理的な知識と、それに対するカイロプラクティック的なアプローチを解説していきたいと思います。
出展;イラストAC 作者;Oto氏
目次
更年期とは?
日本では、50~55歳がもっと多く閉経を迎えるそうです。閉経は月経が停止する事を指し、卵子の在庫が無くなってしまい、それに伴ってエストロゲンをいう女性ホルモンが低下する事で起こります。エストロゲンはある日ピタッと止まってしまう訳ではなく、徐々に減少していきます。
女性ホルモンの変化に合わせ、体のシステムも変えていかなければ行かないので、その間の体の調子が悪くなりやすい時期が更年期です。閉経の前後5年間くらいがその時期に当たりますので、全部で10年間くらい続く事があります。
更年期障害とは?
更年期障害の発症メカニズムは、詳細にはまだ解明されていません。
閉経の特に2年くらい前からエストロゲン(卵胞ホルモン/卵巣から出る)の低下が目立ちます。ホルモンの血中濃度の低下を察知して、脳の視床下部というところがエストロゲンをもっと適正値まで出すように命令を出します。それが性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン/FSHと黄体形成ホルモン/LH)です。
卵巣の方は「もう、在庫無くなったので、営業終了したいんですけど…」と言っているのに、視床下部の方は「いゃ、まだまだ行けるでしょ」とやたら興奮して、命令を出しまくっている状態です。
体の中の生理的な機能は、ホルモン(内分泌系)と神経系(自律神経)でコントロールされています。そのため、両方を管理しているのは視床下部です。したがって、自律神経の方もつられて調子が悪くなるのです。
この体のシステムの変化に慣れるまでにある程度、期間がかかったしまうのです。これが更年期と呼ばれ、その程度がひどくなると更年期障害と呼ばれます。そのため、閉経後、一生続くわけではなく、ある一定期間を過ぎると治まります。
また、更年期障害には心理的要因もかなり関わっていると考えられています。それは、更年期症状にはウツやヒステリー症などの精神疾患がよくみられるからです。精神的なストレスは、大脳皮質や辺縁系と介して、やはり視床下部に情報が行きます。そのため自律神経機能に影響を及ぼします。
更年期障害の症状
更年期の年代の女性全体で、いわゆる更年期の症状を全く訴えていない人は2割くらいと推測されています。そして、日常生活にそれほど支障が無い程度の症状を訴えている人が4割、日常生活に少なからず支障を感じている更年期障害と言われる人が4割程度いると推測されています。
症状の傾向は、自律神経失調型と精神神経失調型の2つに大別されます。
自律神経失調型は、のぼせ、冷え、発汗異常、めまい、動悸、首・肩のコリなどが見られます。精神神経失調型は、不眠、うつ、不安感、神経質、無気力、極度の慢性疲労感などです。しかし、精神症状は心身症として体の鈍痛感などとして出てきたり、2つは混ざりあって症状が出てくる事の方が多いようです。
カイロプラクティック的な更年期障害の対処法
病院では、不足したエストロゲンを補充する方法が第一選択として行われます。エストロゲンだけだと子宮内膜が増殖する事により、子宮体癌の発症リスクが高くなるのでプロゲストロン投与も併用します。
閉経してもエストロゲンは全く無くなるわけではなく、副腎から出ているアンドロゲン(男性化ホルモン)が脂肪組織で変換されるので、若干はあります。
カイロプラクティックでは、当然の様にホルモンを補充するような事はできないので、自律神経系のアプローチから始めます。
自律神経の中枢は、視床下部の他に、脳幹の網様体や、大脳辺縁系という、いずれも脳の奥まったところにある領域が関連し合いながらコントロールしています。それぞれの領域は、他の脳領域から色々情報を受け取りながら、自律神経系に命令を下しているので、外から脳に色々刺激を入れてみて、反応を見ながら脳の働きが弱っているところを活性化したりします。
また、脳には左右で働きに違いがあるので、それも考慮に入れます。体の調整は、脳に入る感覚に変化が生じるので、よい活性化になります。体のバランスを取る事は、身体的ストレスを取り除くのに有効になります。
自律神経は、自分の意思と関係なく自動的に働くものですが、呼吸は自分でもコントロールできる部分なので、肋骨なのどの呼吸器系統の調整や、呼吸訓練は有効です。
ストレスは、直接自律神経にも影響しますが、副腎もストレスに抵抗するホルモンを分泌するので、ストレスが多いと副腎も疲れてきます。するとアンドロゲンなど他のホルモンの分泌にも影響を及ぼす可能性があるので、その改善も目指します。
当院では、ニューロオリキュロセラピーという耳に対する微弱電流で刺激を加える、と言う手技も併用しています。耳には、頚椎からの神経の他に、迷走神経・顔面神経・三叉神経という脳神経も混在しているので、ここの電気刺激は、直接、脳幹の方へ刺激を入れることができ、脳機能の活性化に有効と考えられています。
カイロプラクティックには、薬を使う際の副作用などのリスクが無いので、健康管理・増進にぜひお勧めです。更年期で悩まれている方にお役に立てると思います。
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