論文紹介記事の中の用語の説明
前回に引き続き、「カイロプラクティックの安全性/危険性」を論じる上で必要となる論文をご紹介していく当たって、予備知識を解説していく記事になります。
これから「カイロプラクティックの安全性/危険性」シリーズの記事のなかでは、多数論文のアブストラクト(概要)を和訳して載せていますが、一般には知られていない統計学上の用語がいっぱい出てきます。
簡単ではありますが、それらを解説していきます。これから続く「カイロプラクティックの安全性/危険性」シリーズの記事を読む際の一助にして頂ければ幸いです。
1,序文
近年、トレーナー業界では研究者兼トレーナーという界隈の人達から「もっと論文読もうぜ!」っていう動きが起きています。トレーニング業界では今までその人の経験則や、先輩や指導者から教わってきたことをそのまんま行ってきたという節があり、それって本当に効果的なのか疑わしいものが横行しているからです。
そんな中で、私も少し論文の読み方を教えてもらったことがあります。
ちゃんと読もうとすると大変ですし、私も簡単なことしか解りません。これから「カイロプラクティックの安全性/危険性」シリーズの記事を載せるに当たり、いくつか論文のアブストラクト(概要・抜粋の意)を紹介していきますので、その中で出てくる用語の意味を私が解る範囲で解説していきたいと思います。
2,書籍のご紹介
これから述べることは、全てこちらの本に載ってます。人気の本ですね。お勧め!
3,P値
読み方は「ぴーち」。と言っても桃ではありません(笑)
医学系や運動生理学系論文で頻繁に(P=0.□□)や(P<0.△△)というのが出てきます。このP値は日本語で訳すと有意確率といい、医学系論文でこの数値がある一定以下であると
「何か調べたいことを行ったグループと、比較対象のグループとの間に差があると認められた。」
ということを指しています。つまり、この調べたい事柄には何か効果がある、ということを意味しています。
そして、このグループ間に差があると認められるのは、
P値が5%未満(P<0.05)
というのが一般的に定められています。
4,標準偏差
何か調査をし、データを採取します。その際、「データのバラツキ具合」を示したものが標準偏差です。standard deviation の頭文字をとってSDと表されます。
標準偏差の範囲は、そのサンプルグループの平均値と、その上下に平均偏差値の範囲を加えたエリアに68%のデータ値が存在する、ということを意味します。また、平均値に標準偏差の2倍をかけた数値を上下に加えた範囲には、95%のデータが存在するということを意味します。
5,信頼区間
何かを調べようとしたとき、一つのサンプルグループの平均値は、別のサンプルグループの平均値と違っていることが通常起こります。調査対象のサンプルグループの平均値の差を含む大きさの範囲を示しているのが信頼区間です。
95%信頼区間といえば、95%の確率で真の差を含む値の範囲を示しています。逆に言うと、100回調べたら、5回は真の値は含まない範囲ともいます。
6,メタアナリシスについて
メタ分析と表記されることも。
簡単に言うと、分析の分析です。質の高い論文を複数集め、統合・分析します。ポイントは「質の高い」論文を使うというところが重要です。
ですので、メタアナリシスで得られた情報は、より信頼度が高い情報であるといえます。
7,まとめ
今回は、これから当シリーズ記事で出てくる統計用語の超ザックリとしたご紹介でした。記事を読むに当たっては、何となくそんか感じか~、くらいのニュアンスを持っていれば充分です。というか、私もその程度の知識です。
ちゃんと正確な知識を得たい方は、先にご紹介した本や、他の教科書を当たって頂くことをお勧めします。
では、今回はこの辺で。