血管迷走神経反射の不思議

夏バテ気味のダフィーカイロです。今年はホントに異常気象ですね~。東から西に逆走する台風とか、どうゆーことやねん!?

さて、ただいま失神の訴えで来院されているクライアント様がいます。

そこで考えてみると、失神に関して以前より疑問に感じていることが1つあり、今回はそのことについて記事を作ることにしました。

疑問に感じているということは

「血管迷走神経反射」

についてです。

 

 

 

 

血管迷走神経反射とは?

そもそも「血管迷走神経反射」とは何ぞや?と思われるでしょうが、読んで字の如く迷走神経の働きで血圧が低下し、血流低下のため、目まいや吐き気、ひどい場合は失神をしてしまう生理的な反射のことです。病的な場合は心停止もあります。

この反射を引き起こすものとして

①長時間立ちっぱなし

②気温が高い環境下での激しい運動

③排便・排尿後

④精神的緊張が続いた時

⑤採血などの注射

⑥強い痛みを感じた時

などが一般的に知られています。

①②④⑤⑥などのように身体的・精神的に強いストレスにさらされると、副交感神経である迷走神経が過剰に反応し、血圧低下や心拍数の減少が引き起こされ、脳に行く血流が足りなくなり様々な症状や失神を引き起こすとされています。

③の排便や排尿時では、内臓を働かすのに副交感神経は活発になり、また腹圧が低下するため、それが副交感神経に作用するため同じように引き起こされます。

血管迷走神経反射の失神が起こる前には前駆症状といわれる前兆が出ることがあります。3割の人には前駆症状が無くいきなり失神します。前兆は30秒から数分前から起こり、フワフワとしためまい感や、冷や汗、吐き気、悪寒、視界の狭まり・白けた感じ、意識が朦朧とするなどの症状が引き起こされます。

この反射が起これば必ず失神するという訳ではないので、前駆症状を自覚してふさぎ込むという段階で終わる人もいます。

失神の原因で一番多いのは、実はこの血管迷走神経反射ではないかといわれていて(全体の20~30%)います。従来よく知られている立ちっぱなしで気を失ってしまう「起立性低血圧」「立ちくらみ」もこれの範疇に含まれているようです。

 

疑問に思っていること

で、上記のことでどこが疑問なのかについてご説明します。

その前に、まずおさらいです。

自律神経の交感神経と副交感神経についてですが、この2つがバランスをとって体の中の色々な生きていくための活動(生理的な活動)を無意識的に営んでいます。この活動は自動的に行われているので「自律」神経と名づけれれているのです。

そして、交感神経は身体を興奮させ活動的な状態にし、臨戦態勢や即行で逃げるようにします。具体的には心拍数を増やし、血圧を上げ、血の巡りをよくします。また、血流を内臓から筋肉に移し、身体をすぐ動かせるようにします。交感神経は精神的な興奮や恐怖、緊張を感じると活発になります。

逆に、副交感神経は身体活動を落ち着かせ、食事の消化などエネルギー補充のために働きます。心拍数を減らし、血圧を下げ、血流を筋肉から内臓に集めて、消化吸収の効率化を図ります。そのため副交感神経はリラックス時に優位になるとされています。

ここで疑問が起こるのですが、

血管迷走神経反射では先ほど「身体的・精神的に強いストレスにさらされると、迷走神経が過剰に反応」すると説明いたしました。これは一般的に血管迷走神経反射の説明でなされるメカニズムなのです。

しかしよくよく考えてみると「身体的・精神的に強いストレスにさらされる」と反応するのは『交感神経』でしょ!?となります。なんで、副交感神経が過剰に働くの?

実は、この辺のメカニズムはほとんど触れられず、さら~と流されていることが多いです。

 

血管迷走神経反射のメカニズム

交感神経の興奮→副交感神経の興奮への移行プロセスは次の通りです。

①交感神経の興奮が過剰に起こる

②心臓に過負荷

③心臓の情報が延髄の狐束核に伝わる

④交感神経の活動を抑え、副交感神経の活動が強くなる命令が出る

⑤脳に行く血流が不足し症状が出る

この反応は専門用語でいうとBezold-Jarisch反射(ベツォルド-ヤーリッシュはんしゃ)といいます。

この反射は何を目的として行われているかというと、交感神経が活動しすぎて調子が悪くなりそうなので、替わりに副交感神経を活動させるという『防御反応』として起こっている、というのが現状有力視されている説明なのです。

しかしこれ個人的な意見ですが、こじ付け的で無理がある説明のような気がします。防御反応とかいって、逆に身体には良くないでしょう。失神して頭部から倒れるほうがよっぽど身体に悪い。

もともとBezold-Jarisch反射は心室の過剰収縮に対して心臓の迷走神経が反応して引き起こされるものです。心臓の過剰収縮のストッパーとしての役目がありますが、心臓疾患の時に問題を引き起こすとして注目されていました。ですが、日常生活におけるちょっと交感神経が興奮するレベルで失神を起こすような反応では問題があります。

これらの疑問点について自前でちょっと調べてみましたが、いまいちよく分かりませんでした。とりあえず、血管迷走神経反射で失神するのは動物では人間だけのようです。やはり、二足歩行で頭が高い位置にある人間は心拍・血圧低下で脳の血流減少すると特に影響でやすいというのは安易に想像できます。

Bezold-Jarisch反射が起きて、心拍・血圧低下が起きそうになっても、それに打ち勝つように交感神経のコントロールが上手く働くと症状は起こらないようです。つまり、交感神経のコントロール障害がこの病的反射の根幹にあるようです。

 

参考文献

ご興味のある方は、ご参考までにどうぞ。

Role of sympathetic nerve activity in the process of faintingFront Physiol. 2014 Sep 15;5:343. doi: 10.3389/fphys.2014.00343. eCollection 2014.

Vasovagal Syncope As A Manifestation Of An Evolutionary Selected Trait.J Atr Fibrillation. 2014 Aug 31;7(2):1035. doi: 10.4022/jafib.1035. eCollection 2014 Aug-Sep.

 

まとめ

失神には、迷走神経の反射のほか、心臓疾患、脳血管障害、起立性低血圧などの神経調節不全、低血糖症、心因性やてんかんなど様々な原因があります。まずは原因の特定されることをお勧めします。

今回はそのなかでも血管迷走神経反射についてのご紹介でした。新しい情報が見つかったらまたお知らせします。この手の情報は自分の思い違いで覚えていたり、新しい知見が以前の情報と食い違っていたり、ということがよく起こりますので常に修正していくつもりで構えていないといけないですからね。

では、今回はこの辺で失礼します。

 

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