自分が老化をつくる
【今回の記事はブログ統合のため、他ブログより転載しました(初出2018年8月)。】
実年齢と体力年齢という言葉があります。
実年齢とは実際にその人が生きた年月のこと。生物学的年齢といい、ただの数字上の尺度です。対して体力年齢とは、その人の運動能力が実年齢に対してどの程度あるのかをみる指標です。
特に年配者の場合、年齢が上がるにつれて、基礎的な体力や健康度の面で個人間の差が広がっていくというのは実感できると思います。周りを見回してみても、同じ年齢なのに健康的で元気な人と、そうでない人の差がどんどん大きくなっていくな~と感じられます。まあ、若年者でも健康度の差はある人はありますが、高齢者ほど顕著になります。
今まで施術院で多くの人と接してきて感じられたことは、この体力年齢という尺度は「老化」や「健康」に対して如何にその人が向き合ってきているかを反映しているなということです。
そこで今回のテーマは
①自分が自分自身の老化を作る
②そしてその下地は、その前段階の年齢で準備されている
この2点について当院の考え方を述べて行きたいと思います。
老化と体力年齢
体力年齢が実年齢より低い→弱々しい→老化している
という図式が一般的イメージではないでしょうか?
若年者では体力年齢が低いのは、身体的問題が無い場合、単なる運動不足です。年配者でもそれは同じですが、それに加えてサルコペニアという問題が発生します。サルコペニアは生理学的な加齢による筋量の損失より、加速度的に筋量が失われていく病態のことで、高齢者の健康の質を落とす要因として近年注目を浴びています。
現在、確認されている最もサルコペニアに対する効果的な改善法は「筋トレ」することです。しかし、運動すること、ことに筋力トレーニングに対する拒絶反応を示す方が多くいます。何かと理由を付けてやりたがらない。
特に高齢者だからっていう訳でもなく、20代だろうが30代だろうがどの年代にも運動したがらない人達は一定数います。しかし、高齢者には若い年代に比べ、先述のように運動しないと健康面で被る不具合が増えるリスクが高くなります。
そこで、ちょっと『やる気』を出して頂こうと、いくつか映像をお見せします。
これから出す例えはかなり極端な例ですが、信念をもって正しいことを行っていれば成果は出る、ということを物語っている一つの事例です。ここまでヤル必要はありませんが、この人達のやる気の少しでも自分の生活に取り入れれば、より有意義な人生を送ることにできるようになるでしょう。
RAFAEL VERAさん 72歳
いわゆる「ドッキリ」ですね。RAFAEL VERAさんはスペインの72歳のボディービルダーです。年相応な体型にカモフラージュし、とあるジムに゛一般的″な同年代の仲間と乗り込んでいます。
始めは世間一般が考えるような「弱々しい」年配者を演じていますが、徐々に実力を発揮していき…
というような展開です。
日本にも似たような人は居ますね。このお方も有名人。
金澤利翼さん 77歳
ちなみに、この方は80歳以上になっても優勝し続けています。
何もここで言いたいことは、健康のために皆ボディビルダーになれとう事ではありません。ビジュアル的に「やれば、ここまで行ける」ということが分かり易いので例で出してみただけです。
次はもっともっと一般的に有名な人の事例。
「きんさん」100歳から脚の筋トレで自力歩行ができるようになる
youtube動画は削除されていたので、下記の接骨院のブログ記事をどうぞ。
当院では、100歳超のご長寿・成田きんさん(故人)が証明した高齢者向け筋肉トレーニングを実践しています。
100歳越えの姉妹で有名だった「きんさん・ぎんさん」の姉のきんさんのお話です。自力で歩けなかったのが100歳を越えてから筋トレをしたら歩けるようになったという事実!年齢に関係なく、筋トレすれば筋力は向上するという既存の研究結果をご自身で証明して見せています。すばらしい!
とりあえず3例挙げておきましたが、これらの方々のエッセンスだけでも感じ取ってもらえればな~と思います。
運動機能の老化に備えて
もう一つ言いたいことは、
自分で老化をつくる下地は、その前段階の年齢で準備されている
ということです。
実は今回言いたかったことは、こちらの方がメインです。
平成8年度の健康づくりに関する意識調査(健康日本21)
上記の調査によると、自分が運動不足であると感じているかどうかの意識では、40代~70代の男性で「大いに運動不足である」が20~40%、「少し運動不足である」が40%前後となっています。女性では「大いに運動不足である」が20~40%、「少し運動不足である」が40~50%となっています。
それに対して実際に運動しているかの調査では、40代~70代の男性で「運動している」のは30%前後で、「以前はしていたが今はしていない」「昔からずっとしていない」を合わせると70%前後ななります。女性でも「運動している」のは30%前後で、「以前はしていたが今はしていない」「昔からずっとしていない」を合わせると70%前後になります。
全体的にざっくり言うと、男女の各年代で40%くらいの人が「現在、全然運動していない」にも関わらず、認識としては「少し運動不足かな~」くらいに捉えているということです。
ですが、私の感覚としては
結構、運動不足ですよ!
という方が多いです。認識が甘め。
運動習慣を付けるということ
う~ん、運動不足じゃないですかね~?というと、大抵の人は「そのうちヤルから…」といいます。しかし、年配になってから運動を始めようとすると、それまで運度していなかった方は体力的に低下しているので、かなりしんどく感じます。そこで嫌になって挫折してしまいます。
私の施術院にこられた方はすでにお分かりと思いますが、運動しましょう、運動しましょう、けっこう言います。そこで洗脳されて(笑)、なんとかジムへ行ったり、自宅でのエクササイズに取り組んでくれる方が出てきます。しかし、残念ながら運動習慣が身につかず、そのまま断ち切れになってしまうケースが多いです。
これは当院に限ったことではありません。
以前は大和市のスポーツセンターのトレーニング室をよく利用していました。そこでは初回利用者講習回が、一般利用時間中に混ざって行われています。ですので、よく初回講習会に鉢合わせになる機会もありました。その度に、たくさんの受講生を見かけました。
始めのころは「この人数の人達が毎回利用でくるとしたら、たちまちこのトレーニング室はパンクするな」と思っていました。それは初回利用者講習会は月に何度も開催していたからです。ですが、新しい人達が利用しだして最初のころは少し混みますが、しばらくすると利用者人数は以前とそんなにかわらなくなり落ち着きます。
要は、最初はやる気を出して運動し始めるが、どんどん辞めてってしまうということなんですね。つまり、世間一般的に運動習慣って身に付きづらいって事を表しているのでしょう。
先ほどご紹介した70代のボディービルダーの人達も、高齢になってから急にボディビルを始めたわけではありません。そんなすぐに出来上がるような身体じゃありませんものね。何十年の積み重ねで作られたものでしょう。別に我々がそれを目指す訳でもないですし。
ただ、身体を作るためには時間が必要です。コツコツと積み重ねなければいけません。年配なっても健康的な身体を維持したいなんらば、それ以前の年齢の時に運動をしておかなければいけないのです。そのためにも運動習慣を身に着けておきたいものです。
アンチ・エイジングとしての運動
特に先々のことを考えると、50代からは運動習慣の無い人は始めて頂きたい。時間が無いってお言葉もよくいただきますが、そのような人ほど「筋トレ」から入ることをお勧めします。持久運度・有酸素運動というものはどうしても成果を出すためには時間がかかります。「筋トレ」はそれよりも短時間で成果が出やすいです。
「運動始めましょう」というと取り付きやすさから「散歩」を始める方が多いです。散歩も良い運動ですが、持久運動と筋力トレーニングでは運動のメカニズムが別物です。特に筋トレはおざなりになっている人が多いです。
一方、一念発起してトレーニングをガーっとやり出すと、やる気のあまりオーバーユースで関節や靭帯や腱などいわゆる「スジ」を痛めて、そこでトーンダウンして、さらに辞めていく…というパターンをたどる人もいます。普段使ってなかったものを急に使い出すと痛めてしまいます。
それで辞めていってしまうのはモッタイナイので、そうならないように運動の仕方や運動の強度、運動メニューなどは当院でもご指導させていただいているので、その辺は当院を上手く使っていってほしいと思います。
また、運動は脳トレにもなります。運動している最中は、運動神経を働かすため、大脳皮質・小脳・基底核などなど様々なところを使いますし、身体を安定させるため視覚・前庭系・小脳・体性感覚などを使い、心肺機能を使うため内臓感覚なども意識されます。
日常的にもそのようなことは使われているだろうと思われるかも知れませんが、日常で使うレベルと運動で使われるレベルでは負荷が違います。より高い負荷で使われることができれば、機能的に衰えというものにより抵抗できるようになるでしょう。つまり脳のアンチ・エイジングとなるのです。
まとめ
当院をご利用になる方でも、キチンと運動しとけばこのくらいの症状、すぐ良くなるのにな~って思える人います(特に年配者で)。今回は、そのような方々へ向けてメッセージでした。
ただし、運動は闇雲にやればいいというものではありません。逆に悪化させる可能性もあるからです。じゃあ、何もしない方がいいじゃん、っていう訳ではありません。改善できるものは改善して方が、ご本人の人生・生活に有益であるからです。
先々のことはどうなるか分かりませんが、どうせ生きるなら快適に過ごしたいじゃないですか。
そんな思いで当院は施術しています。
では、今回はこの辺で。
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