X脚由来と思われる大腿の張りと腰部の張りの症例
こんにちは、ダフィーカイロです。
今回は股関節外側の張り、鈍痛を訴えるクライアント様のケースを題材に、修正していいX脚と修正してはいけないX脚について述べていきたいと思います。
概要
この方は50代女性で慢性的に股関節周辺と腰の下部に違和感を覚えます。
一般的に股関節の訴えで多いのは鼠径部周辺です。しかしこの方の訴えをよく聞くと、どうも大腿部前外側の上部で、大転子と呼ばれる股関節の骨の出っ張りの前下方周辺の痛みのようです。特にここが掃除機をかける姿勢なると鈍く痛むそうです。
また、腰は朝おきがけに痛むことが多いとのこと。
立った姿勢が股関節が軽度曲がっていて、骨盤がやや前傾しているようにみえます。併せて腰の反りも強いようです。これは股関節前部が縮こまって、それに対応して腹部が緩み、逆に腰部が縮こまっているという、教科書にローワー・クロス・シンドロームとして紹介される典型的な不良姿勢です。
トーマス・テストという股関節・太ももの前面の柔軟性をみるテストを行ってみると、案の定柔軟性が低下しています。また、オーバーテストという太ももの外側の硬さを見るテストでも柔軟性低下をしましたいました。
柔軟性が低下している組織があれば、まずその回復を試すというのが施術のセオリーです。ストレッチなどを交えアプローチするとその場では改善します。股関節周辺の柔軟性に加えて、骨盤が前傾&腰部が縮こまっているというのがあり、これが残っていると再び股関節の硬さが戻ってしまうので、そこにもアプローチを加えます。
しかし、これらのことを数回繰り返してみても、次にきた時には元に戻ってしまっていました。そこで追加アプローチとしてX脚への施術を増やしてみます。
このクライアント様はX脚も目立っていました。下肢の運動のつながりとしては、骨盤前傾-股関節の内旋(内側への捻り)-膝下の外旋(外捻り)-回内足というのが、多くの教科書に書かれています。これが巷でよく言われるX脚というやつです。今回のケースも骨盤前傾-股関節内旋-膝下外旋が強く当てはまります。
一般的にこのような脚の捻じれは、股関節内旋と膝下(下腿)外旋のアプローチを第一選択として試みます。当然、当院でもまずここの施術を真っ先に行いました。
このらのことを数回行ってみましたが、骨盤前傾-X脚、股関節周辺の硬さは施術後改善しても次には戻っているというのを繰り返します。
セルフ・ケアとしてホームエクササイズの実施も頼んでおりましたが、その実施頻度や量が少ないので、その要因も考えられましたが、そもそもの施術アプローチが間違っている可能性もありました。
修正していいX脚とダメなX脚
よく考えたら一つ見落としている点がありました。それが股関節の前捻角でした。
足先が真正面を向いている時、上から大腿骨頭をみると足先に対して真横についている訳ではなく、若干前の方に骨頭は角度がついて出ています。この角度のことを前捻角といいます。成人では10~15°ですが、それより角度が多い人がいます。その場合、骨盤側の関節のくぼみのはまり具合としては、股関節前面の露出が多くなり関節の固定力が弱くなります。そのため大腿骨頭を適正に骨盤の関節のくぼみに合わせようとすると、大腿骨そのものが内旋し、内側に向くようになります。そのため内股となり、X脚ができあがるのです。
この前捻角というものは、正確にはレントゲン画像から角度を求めなければいけませんが、クレイグ・テストという簡単な方法で推測することができます。今回の場合もこのテストで30°以上の陽性を示しました。
このような場合、無理にX脚を修正しても無駄になります。骨の形状上、股関節を内旋にしないと安定しないので自然と体がその位置をキープしようとするからです。そのため修正してもすぐに元に戻ってしまっていたのです。
そこで方針を変えて柔軟性の獲得ではなく、多くの骨盤・股関節・下肢の運動を取り入れました。縮こまっている筋肉を働かせて筋肉内の毛細血管の流れを促進させることが目的です。これを数回繰り返すことにより徐々に大腿・股関節周辺の鈍痛が軽減し、戻ってしまうという現象も見られなくなっていきました。
股関節・骨盤の前面の筋肉や軟部組織が硬くて、骨盤前傾・股関節屈曲・反り腰が見られるならば、その筋や組織の柔軟性を取り戻せば骨の配列不良は改善するかもしれません。しかし、骨の形の異常が原因で骨盤前傾・股関節屈曲・反り腰になり、そのため筋や組織が縮こまってしまっているなら、柔軟性獲得をメインにやっていても効率があがりません。
筋肉が縮こまり、内部の毛細血管の流れが悪くなり虚血による痛み出ている場合、筋肉を伸ばすだけでなく自主的に収縮・弛緩を繰り返すことで筋肉の線維を伸び縮みさせることにより、筋内のポンプ作用により毛細血管の流れを改善させることが重要です。今回はその成果が出たようです。
今回のポイントは、筋肉や軟部組織が原因で引き起こされているX脚はそれ自体を修正することによって症状が改善しますが、骨形状自体が正常より逸脱していることが原因で引き起こされているX脚は修正しても効果が薄く、修正より周辺の筋を使ってやること重要となるということです。
まとめ
同じ歪み・形態にみえても成因は違うものです。原因を決め付けてしまうのはよくないし、アプローチも替える必要があります。トライ&エラーと評価の修正を繰り返すことが正解への近道です。このことは毎度同じことを言っていますが、今回のX脚でも同様の経過をたどりました。
当院はこんな感じで施術してます。ご参考までに。
では今回はこの辺で。
編集後記
映画「ボヘミアンラプソディー」を見てたら無性にコンサートライブに行きたくなりました(笑)
そんな訳で、生まれて初めてこの夏はフェスにいって来ます。
千葉のソニフェスです。目指すは当然「babymetal」。レッチリも同様。そしてマキシマム ザ ホルモンが参戦してくれたのがメチャうれしい。タイムテーブルが被らないことを願うのみです。
基本、ラウド系が好きです。
今から、耐熱訓練しておかないと。。。