検査をしても腹部の違和感の原因が分からない時に
今日はダフィーカイロです。前回までのシリーズ記事「五十肩」は一旦お休みして、別の話題をお届けします。
腹部の違和感を訴えて施術院を探してこられる方がいらっしゃいます。
病院で検査しても何も見つからず、かと言って入院するほど重い症状でもないので、そのまま違和感を抱えて日常を過ごすことになります。
その様な場合、機能医学的な側面から何が出来るかをお伝えしていきます。
今回は特に肋骨の下の部分やミゾオチに違和感を訴える方が多いので、その点にフォーカスしてお話します。
機能性医学とは?
画像診断で分かるような、余計なものが体に出来た、形が変わった、など器質性病気を対象としたものが従来の医学であり、それに対し内蔵内部の働きや神経の働きなどシステムとしての働きの不調を対象とするのが機能的医学と言われています。
具体的には、栄養やメンタル、運動など健康を支えているもののバランスが崩れているために引き起こされると考えられるものです。これは我々、施術者や民間療法の人間にも介在することが出来る分野なので、近年、業界で広く取り入れられている考え方です。
今回は、この体のシステムの不具合でという面から腹部の違和感がを見ていこうと思います。
内蔵の滑走性の不調による違和感
先にも述べましたが、腹部の違和感で訴えが多いのがミゾオチと肋骨の下部周辺です。
我々、カイロプラクターは第一に「手技」によるアプローチを得意としているので、その観点から見てみます。
まず、ミゾオチ部ですが、ここに何があるのかというと、胃があります。肝臓の先端部や膵臓も周辺にあります。胃からは大網という結合組織が内蔵の前面を覆うように垂れ下がっていて、内蔵の保護をしています。背骨の前には太陽神経叢という神経の塊があります。
これらの組織の何らかの原因で硬くなったり、動きが悪くなると癒着という組織同士がくっついて滑りが悪くなり、それが組織を引っ張り、痛みや不快感を出す原因になることがあります。
ここで言う何らかの原因とは、腸内細菌の所為で内蔵の働きが悪くなったり、姿勢の悪さで横隔膜の動きが制限されたり、ということが考えられます。
肋骨の下部については如何でしょうか?
右の肋骨下部にはちょうど肝臓が隠されています。肝臓は横隔膜から間膜という組織で吊るされています。したがって横隔膜の影響を受けます。
また、肋骨の下部は大腸がカーブを描く場所でもあるので、ガスが溜まりやす部分でもあります。特に肝臓が位置する右より左の方が位置が高くなるのでガスが溜まりやすくなります。そのため溜まったガスの刺激により鈍い痛みを発しやすくなります。逆に右の肋骨下部での痛みは肝臓と横隔膜や、胆のう、胃の出口(幽門)との関連が考えられます。
また、先ほど述べたように胃からは大網が広く内蔵全面に広がっているので、逆に内蔵の柔軟性の無さのため大網が引っ張られ、胃の不快感を生む可能性もあります。
上記の例から分かるように、内蔵やそれらを取り巻く組織がそれぞれ滑らかに滑って動けば問題ありませんが、それらの動きが妨げられると違和感を出す可能性があります。これらはある程度までは手技で解消することができるので、カイロプラクティックが適応となるのです。
食べ物による不調
腹部の違和感と言えば消化器の不調を考えなければいけません。
腸には腸内細菌が住み着いていつので、食べたもので腸内細菌の環境が影響受け、細菌の割合や数に影響が出ます。細菌により食べ物を分解して発生するガスの頻度が変わってくるので、多くガスを発生させる菌が増えてくるとガスが腸内に溜まり、腸が張ってきて働きが悪くなってしまいます。
腹部の調子が悪いと思われる方は、食生活を改善すると状況が好転することがあります。基本的には刺激物や、油ものを避け、栄養バランスを考えた食事をすることが大事です。
姿勢
最近では、民間療法界隈だけでなく医師の方でも、姿勢の悪さが内蔵機能に悪影響を及ぼすことを発言する人が出てきています。
猫背だと胸郭が全体的に下に引き下げられ、その下に位置する腹腔が圧迫された形になります。当然、腹腔内にある内臓も窮屈になるので、働きが悪くなる可能性があります。
一方、スウェイバックという骨盤を前に突き出し、上半身は後ろにもたれるような姿勢は、腹部が弱まり、上手く腹腔を支えることが出来なくなります。このような状態は、横隔膜や骨盤底筋の働きを悪化させるので、それが内蔵の働きに悪影響を及ぼす可能性があります。
お腹の調子が悪く、姿勢が悪い人は関連がある可能性があるので、姿勢改善に取り組むことで好転することが出来ます。
メンタル
メンタル的な不調が消化器に影響を及ぼすことは広く知られています。
ストレスを受け精神的緊張を感じる時、お腹がシクシクと痛むというのを経験したことがある人もいるでしょう。胃や腸は特にメンタルの影響を受けやすいと言われます。精神的な緊張が自律神経の働きに影響を及ぼし、その結果内蔵の働きに変化を与えるためです。
カウンセリングはカウンセラーがやる仕事なので、ここではカイロプラクティック的な側面から如何アプローチするかをお話します。
メンタルと自律神経は密接に関係するので、逆に自律神経を整えることによってメンタル的な不調を安定させることも不可能ではないと考えられます。
自律神経で最も意図的に操作しやすいのが呼吸なので、まずは呼吸器系の調子を整えていくことがメインとなります。
呼吸法は、瞑想やリラグゼイション法などで広く取り入れられている手法で、有効性が科学的にも実証されています。カイロプラクティック的にも呼吸改善の手技は多数ありますので、それを適応していきます。
まとめ
今回は、病院の検査でこれといった原因が分からない腹部の違和感に関して、カイロプラクティックでは何が出来るかということを、関連する項目から説明していきました。それは体の調子を整えているそれぞれの機能を修正していくことで達成します。
以前掲載した記事でご紹介したように、まずは西洋医学的な原因があるならそれを突き止め、その対処をしていく必要があります。中には重大な疾患が隠されている場合もあるので、それを炙り出すためです。
その様な検査で異常がなければ今回ご紹介したような内容を改善していくと良い結果を得ることが出来るかもしれません。
今回の記事が何か皆様の参考になれば幸いです。
では、今回はこの辺で。