筋・関節の炎症回復に関わるビタミン・ミネラル・たんぱく質

 

今回は、炎症回復に効果的な栄養素の第2弾めの記事で、「ビタミン・ミネラル、たんぱく質」をターゲットに記事を作成しました。

炎症のための食事としては「脂質」の方が有名なので、先ずは前回の記事を先にを読みください。

→「頻繁に体のあちこちが痛くなる人のための栄養

 

注意;この記事内で、食材100g内に含まれる各栄養素の量が記載されていますが、実際食事をする場合、その食材を100gも摂らない(量が多くて摂りきれない)ことが多いので、お間違いのないようにお願いします。例えば、海苔を100gも摂ろうとするととてつもない量を摂らないといけません。

 

亜鉛

人体において亜鉛は200以上の酵素の活性に必要とされているため、神経系・免疫系・内分泌系のシステム維持に必要とされています。そのため創傷や炎症の治癒にも重要です。

1日の平均摂取推奨量

成人男性 11mg

成人女性 8mg

 

肉類・魚介類に多く含まれています。

肉・魚類を食べないベジタリアンやアルコール依存症の人は不足します。

平成28年度栄養摂取調査では日本人の1日平均摂取量は、成人男子8.8mg、成人女性7.3mgで推奨値より下回っています。

食品名 可食部100g当たりのmg
養殖生ガキ 14.0
しらす干し(半乾燥) 3.0
油揚げ(生) 3.0
乾燥カットわかめ 2.8
アーモンド 3.6

 

摂取上限値

成人 40mg

過剰摂取した場合、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢および頭痛などの徴候がみられます。長期にわたり亜鉛を過剰摂取すると、銅の減少、免疫の低下、およびHDLコレステロール(「善玉」コレステロール)の減少などの問題が生じる場合があります。サプリメントの過剰摂取は注意です。

 

 

ビタミンA

細胞の成長、骨の修復、免疫機能に必要な栄養素です。

ビタミンAには、2種類のタイプがあります。食肉、鶏肉、魚や乳製品に含まれる既成ビタミンA (レチノール及びそのエステル)と、果物や野菜、その他の植物由来の製品に含まれるプロビタミンAです。食品およびサプリメントに含まれる一般的なプロビタミンAは、β-カロチンです。

1日の平均摂取推奨量

成人男性 850〜900 μgRAE/日

成人女性 465〜700 μgRAE/日

 

ビタミンAの摂取基準には、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。

20~50代男性の1日平均摂取量は、451~555μgRAE、女性は409~543μgRAE。特に男性は不足気味のようです。

ただ、肝臓には大量のビタミンAが貯蔵されており、成人が4カ月ビタミンAの全く含まれない食事しか摂れていない場合でも、肝臓の最低貯蔵量の20 μg/gがキープ出来ている場合は、免疫機能の低下や夜盲症のような軽微なビタミンA 欠乏症状に陥ることがないと報告されています。

食品名 可食部100g当たりのμg
鶏・豚レバー 13000~14000
銀鱈(生) 1500
すずき(生) 180
プロセスチーズ 260
生卵 210

 

摂取上限値

成人 13,500 μgRAE/日

過剰に摂取すると、めまい、悪心、頭痛を生じます。大量のレバーの摂取やサプリメントの摂取には注意しましょう。特にレバーは含有量が多く、標準的な量のレバニラ炒めでレバー60gで、ビタミンAは約7000μgとなってしまいます。したがって、レバーの採取は週に1度が妥当とされています。

 

ビタミンB6

ビタミンB6は、補酵素(酵素の働きを助ける成分)として多くのアミノ酸の代謝を助けています。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの生理作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。

筋・関節の回復にはたんぱく質と赤血球が必要なため、それらを助けるB6も重要な栄養になります。

 

1日の平均摂取推奨量

成人男性 1.4mg/日

成人女性 1.1mg/日

 

20~50代男性の1日の平均摂取量は1.12~1.25mg、女性は0.91~1.05となっています。男性が若干の不足気味です。

ビタミンB6は、野菜類、穀類、魚介類、種実類などに多く含まれています。食事以外では腸内細菌によって合成され、供給されています

食品名 可食部100g当たりのμg
生卵 1.1
いりゴマ 0.64
まいわし 生 16
プロセスチーズ 3.2
あま海苔(焼きのり) 58.0

 

 

1日の摂取上限量

成人 300mg/日

食物からビタミンB6を取り過ぎることはほとんどありません。しかし、高用量のビタミンB6を1年以上にわたってサプリメントから摂取すると、重度の神経障害を引き起こし、動作の制御を失うことがあります。

 

 

ビタミンC(アスコルビン酸)

骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須の化合物で、毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きがあります。

また、抗酸化作用があることでも有名で、体内でビタミンEと協力して活性酸素を消去し、細胞の保護をする働きがあります。

 

1日の平均摂取推奨量

成人男女 100mg/日

 

20~50代の1日の平均摂取量は、男性62~82mg、女性62~88mgで、年齢が上がるにつれ摂取量も多くなる傾向です。しかし、全体的に不足しています。

食品名 可食部100g当たりのmg
キャベツ(生) 41
ピーマン(生) 76
アセロラジュース 120
抹茶(粉末) 60

 

1日の摂取上限量

成人 1000mg/日

通常は、過剰に摂取しても消化管からの吸収率が低下し、尿中排泄量が増加することから特に問題無しとされていました。1000mg以上の摂取は意味がなく、10000mg以上の過剰摂取は、悪影響が出る可能性があることが最近の研究で明らかになっています。

 

 

ビタミンE

ビタミンEは4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類の化合物の総称ですが、体内に分布する大部分がα-トコフェロールです。

脂溶性ビタミンであるビタミンEは、脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収されます。

抗酸化作用が非常に強く、生体膜を構成する不飽和脂肪酸や他の脂溶性成分を酸化障害から守り、過酸化脂質の生成を抑制し、血管を健康に保つほか、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりする作用があります。

 

1日の平均摂取推奨量

成人男性 平均6.5mg/日

成人女子 平均6.0mg/日

 

20~50代の1日の平均摂取量は、男子6.9~7.1mg、女子5.4~6.0mgとなっています。ほぼ満たしているようです。

筋肉・関節の修復に関しては、1日に15mgの摂取を推奨しているものもあります。

食品名 可食部100g当たりのmg
ひまわり油 39.0
オリーブ油 7.4
豆乳 2.2
銀鱈(生) 4.6
アーモンド 30

 

1日の摂取上限量

成人 800mg/日

摂取量の3分の2が便として排出されるため、脂溶性ビタミンの中では比較的体内に蓄積されにくく、通常の食事の範囲では過剰症はほとんど起こりません。

成人男性が800mgを28日間摂取した報告でも、健康被害が無かったため、一応この数値が上限値とされています。

 

たんぱく質

たんぱく質はアミノ酸に分解されて、吸収された後、体に必要なたんぱく質に再合成され、体の構成・機能の維持で様々な所で必要とされます。

酵素やホルモンとして代謝や体の機能を調節するもの、ヘモグロビンやトランスフェリンなど物質の輸送に関与するもの、γ-グロブリンなど免疫に関与するもの、アクチンやミオシンなど筋肉を構成するもの、神経伝達物質やビタミンなどの生理活性物質の前駆体となるもの、などがあります。

 

1日の平均摂取推奨量

成人男性 平均60g/日

成人女子 平均50g/日

 

標準的なたんぱく質の1日摂取必要量は、体重1㎏当たり0.66gとなっています。60㎏の人では、40gとなります。調査による1日の平均摂取量は、成人男性80g前後、女性60g台となり、殆ど充分摂れていると言えます。

しかし、軟部組織や骨格筋の傷害を持った人では、エネルギーとタンパク質の必要量が増加し、約3週間にわたって基礎代謝率も昇します。傷害から回復中の人の場合、たんぱく質の必要量は体重1kg当たり1.2~1.8 gとされています。

アミノ酸には体で合成できず、食べることでしか摂取できない必須アミノ酸があります。それらを摂るためには、肉、魚、卵、大豆、乳類が良好とされています。

食品名 可食部100g当たりのmg
ささ身(生) 23.9
豚赤身(生) 22
キハダマグロ(生) 24.3
ゴマサバ(生) 23.0
納豆 16.6

 

1日の摂取上限

健常者では特に報告はありません。慢性腎機能不全者の場合、腎機能低下を促進する懸念があります。過剰に摂取されたたんぱく質は脂肪として蓄えられます。

 

まとめ

炎症回復からの栄養素ということで、前回は脂質、今回はその他の栄養素としてビタミン・ミネラル類とたんぱく質について取り上げました。

今回の多くの情報は、次の資料によるものです。

・厚生労働省

『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

「日本の食事基準2020年」

「令和元年度 国民健康・栄養調査の結果・概要」

 

変な雑誌・書籍やネット記事より上記の資料を読んだ方が、栄養に関して役立つ情報が得られると思います。ただ、専門用語が多く分かりづらいので、要点をまとめて今回の記事を作成したつもりです。詳しくは、上記のぺージをご覧いただくと良いと思います。

では、今回はこの辺で。

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