レントゲンを撮ったら、骨盤が開いていると言われた。
【今回の記事は以前、他のブログ掲載していたものを転載したものです(2017年10月初出)。骨盤伝説シリーズの第9回目。】
今日は、ダフィーカイロです。
今回、骨盤の開きについて質問が届きました。
説明用の図を作っていたら、我ながら良さげなのが出来たので(笑)、それを使って骨盤伝説シリーズ弟9弾として、今回の返答を皆様にシェアしたいと思います。
この写真は、質問者様のものではありません。イメージ写真です。
ご質問は、
「レントゲンを撮ったら、左側の骨盤が開いているというような内容の診断を受けた」とのことで、出産経験もないけど、どうして開くの?
というものでした。
当院のその時の返答に補足説明を加えたものを以下に示します。
仙腸関節のおさらい
仙骨と腸骨の間の関節を「仙腸関節」といいます。
腸骨と坐骨と恥骨は成人ではひと塊になっていて、これを「寛骨」といいます。
仙腸関節の大きさですが、ちょっと手持ちの文献には記載されてないので正確には言えませんが、指を除いた手のひらサイズ(10cm前後?)くらいと考えていただければ良いかと思います。
仙骨も成人になり、背骨の延長である仙椎が5つくっついて骨化します。仙腸関節は仙椎の1~3番目の骨の側面にできる関節面なので、下部腰椎~上部仙椎が1ヶの高さ2~3cmとなるので、関節の長さは10cm前後と推測されます。
骨盤が開いているといわれる原因
レントゲンを撮影して「骨盤が開いている」と言われたということは、寛骨が仙腸関節のところで外に開いているように見えるという意味ではないかと推測します。
当ブログの骨盤伝説シリーズで再三申していますように、仙腸関節は非常に微細な動きしかしないので、目に見えて寛骨の左右差がわかるくらいズレるというと関節が脱臼している可能性があります。実際、登山の滑落や、バイク事故の転倒などで引き起こされる可能性もあります。
また、長年の無理な姿勢・動き(特に成長期での激しい運動)で関節面が変形して引き起こされる可能性もあります。
しかし、そのような覚えがないのなら、レントゲンを撮影する際の骨盤の位置がズレているために寛骨が開いているように見える場合があります。どちらかというと、こっちの要因のケースの方が多いと思われます。
もう一つの可能性としては、元もとの寛骨の大きさが違うというものがあります。腸骨、坐骨、恥骨の3つの骨からなる寛骨は、成人になり完全に骨化します。それまでの成長過程で、骨の発達具合が左右で違っていることも完全に否定できません。レントゲンは2Dでしか写らないので、正確な寛骨の大きさは分からないのです。
レントゲンの見かけ上の骨盤の開き
左の図が正しく撮れた場合。右の図では骨盤の位置がズレています。レントゲンは2D(平面)に写るので、骨盤が捻じれていると片方の寛骨が広く写り、もう片方は狭く写ります。そうすると広く写った寛骨は外に開いているといわれます。
この見た目上の骨盤の捻じれは、多くが足の捻じれで起こります(立った状態の場合)。
この場合、寝た状態で撮影してみて本当に寛骨が開いているか見比べてみると良いと思います。また、関節部に炎症があるか、仙腸関節面の角度がどうか、変形があるかどうかなどを調べるためMRIを撮ってみることもお勧めします。
まとめ
ご質問の内容からは上記のような事柄が想像できます。いづれが当てはまるかは不明です。当のご本人を実際、拝見した訳ではないので、ここではかなり当てずっぽうです。最終的には、担当医師へご確認を取られることがベストだと思います。
ちょうど、ブログのネタに適切なご質問だったので、私からの回答を皆様にシェアさせていただきました。ありがとうございました。
では、今回はこの辺で。
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